これほど美しい悲劇を見たことがない/相田 九龍
 
らくして水道屋が来た
彼は自らをプロフェッショナルと呼び
「パイプを辿ればローマにだって行けます」
などと誇らしげに言った
そんなことはどうでもよいので
私の携帯をどうにか取り出してくれ
と思っているうちに水道屋は
複雑な形をした工具をとても美しく操り
瞬く間に私の携帯を取り出して
「代金は少しばかり高くつきます」
と言って何枚かの札をふんだくっていった

完全防水の携帯は
こんな悲劇に遭ってもまだ元気に私を迎えたのだが
なぜだか誰の悪戯か
知らぬうちに待ち受けがうんこに変わっていた
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