言葉と心が/あらら
 
言葉と心がもう寸分も違わずに一致している
そう思えた瞬間なんて
これまでに一度だって
僕に訪れたことがあったようには思えない
捕まえたと思っても
次の瞬間心はもう言葉の指先をすり抜けている
言葉が心を捕えること
そんなことは
これから先もあり得るとは
僕には到底思えやしない
伝えたいと思うことが
この心から溢れ返っているのだとしても
きっと誰だって
閉じられたガラス越しの向こう
声の届かない所へと
呟き続けるぐらいのことしか出来やしないのだ
言葉と心にはどんな瞬間にもズレがある
そしてそのズレがさらにこの心を揺り動かすので
僕は君に語り続けるほかないのだ
「少し違うような気もするけど・・・でもまあ大体はこんなところなんだし」
などと思いながら
この気持ちを間違いなく正確に言い当てられる言葉は
きっとこの先も
僕には見つけることなんか出来やしないのであろう
だからこそ僕は
繰り返し何度も君にそう語り続ける
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