心の鏡/
邦秋
冬だけに見ることができる
澄み切った青空の下で
宛てなく歩く私の中は
万華鏡のような美しい混沌
すぐそばにある景色だけ見れば
他人でも微笑む柔らかな空気
レンズの裏側を覗いてしまえば
水面の下の白鳥の足
真っすぐな視線も
複数になれば複雑になる
単純な裏返しでも
数重ねればすべてが歪んで
重ねし時を思い起こせば
柔硬の差に行き着いてしまう
澄み切ったはずの冬空さえも
いつしか模様が渦巻き始める
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