妻の姿の好ましきかな/生田 稔
 

窓越しに机に座り学びいる人の姿の好もしきかな

人にとり妻は親しきものにして親子に勝るものにありせば

淡き陽のさんさんとさす朝の路姉妹の車ゆるゆると出ず

朝になす家事のほとんど終わりヤナーチェク響く静かなる部屋

顧みば十年前わが人生の戻り路をば歩みはじめり

妻ととも休日は遅く起き出でて子にゆっくりとメイル打つなり

陽のあたる妻の花壇に向きあいて日光浴に午前十一時

妻は居ぬ今日の独りのわが身には神と書物と花が咲きおり

やわらかき陽の光浴び晩秋の今日の一日は幸せなりき

妻の車は坂を上りてキミチャーンと心の中で呼びかけり


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