●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●/ひとなつ
「どうして君は走らないの?」とクラスの女子に聞かれて私はこう答えた。
「サンダルだから。」
私が通っていた小学校には
“ランニングをサボった人がいた場合は、その人の周りを走る”
という風習があったので、全校生徒は私の周りをグルグルと走り回った。
その時ずっと、私は消えかけた飛行機雲を見ていた。
しかし
『イカヅチ』のことを
“イカの形をしたカナヅチ”だと思っていた少年時代はもう過去のこと。
私は今日、3年勤めた会社を辞め
モラトリアム空港から楽園行きの最終便に乗り日本を発った。
窓の外の空は雲ばかりで何も見えなかった。
かといって「雲
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)