たおやか着地/嘉村奈緒
例えば地に足が着地したとして
曇り空と背の高い建物の間に
そっと手を差し入れることもできるし
湿っぽいから霧を出してもいいし
花のように丸くなることもできる
後悔はなくならないけど
少ない方がいいに違いないから
たまに歩いたりもする
ギコギコと関節が鳴っても
それは鳴るだけだから
本当は大丈夫なんだって知っている
そのうちたくさんの雨が降って
足元が思いのほかたわんでも
さっき伸ばした手のあたりに
案外と何かがあるから
良かったって言う
見えないものは信じにくいけれど
伝えることはできるから
良かった
とてもいい着地だったって
言うよ
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