通勤ルート/朧月
あんたには悪いが出て行ってくれと
言った叔父が先に死に
出て行きますと言った私はまだここにいる
冬の朝は毎年寒い
なのに今年は寒いねって言う
今年こそって願う始まりは
いつから感じなくなったんだろう
あんたの顔をみたくないと
言った叔母の娘は出て行き
わかりましたと言った私は毎日顔を合わせてる
通勤ルートをかえたくて
何度曲がろうとしてみたけれど
時間があるときでさえ渡れない橋がある
花が咲いてるおうちの前で
ため息をつかなくなったけど
ちらりと横目で眺めてしまう
癖はまだなおらない
冬の道 吐く息は白く
その曇りで未来を描いてみる
私とそして そして そして
やっぱり だれも浮かばない
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