クロマティック・ラヴ・アフェア(ガーベラの花束を手に立ち尽くす)/瀬崎 虎彦
 

(She was once here. So was I.)


あなたがすきなのに
あなたがいなくなって
あたしはくうはくのなかで
あなたの残像を追う

あなたはせんさいなので
あなたをきずつけるすべてを
あたしはけしさリたいけれど
何処にも見出せずにいる

窓から見る雪の軽さ
旋律の空々しさ
音階を上るたびに誰かラも愛されず

あなたがいなくなってしまうのに
はなむけのことばひとつおくれず
ガーベラの花束を手に立ち尽くす


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