『かえるのこ』/東雲 李葉
 

「大人しい子」と、通信簿の文は決まっていた。
お母さんはもう見向きもしなかった。
私はこどもらしくないこどもで、
周りの「らしい」こどもたちがこどもながらに大嫌いだった。





帰り道、雨が降って濡れて帰った。
蛙はげこげこ泣いていた。
きれいな言葉も、予定の寿命も、
名も知らぬ人も、メスの手順も、
全部忘れて泣いていた。
60兆は知らん顔でしょっぱい水を飲んでいた。
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