仕度/笠原 ちひろ
 
うすももいろの襦袢(じゅばん)の
冬に纏(まと)えば
きぬの温(ぬく)さ

衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める

足元に着やすく畳んだきものを
腰から背中とすべらせて
丁寧に肩にのせ
ひと腕ひと腕みぎひだり
袖をとおしたら
ここからが肝要

着丈(きたけ)を決めて裾つぼまりに

ぴっと着つける

スカアトみたいに裾ひろがりでは
決まるものも決まらない


また紐をきゅうと締める
衿元を調えて
また紐をきゅうと締める
伊達〆もきゅうと締める



帯を巻く
しゅるしゅると巻く
[次のページ]
戻る   Point(18)