仕度/笠原 ちひろ
うすももいろの襦袢(じゅばん)の
冬に纏(まと)えば
きぬの温(ぬく)さ
衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める
足元に着やすく畳んだきものを
腰から背中とすべらせて
丁寧に肩にのせ
ひと腕ひと腕みぎひだり
袖をとおしたら
ここからが肝要
着丈(きたけ)を決めて裾つぼまりに
ぴっと着つける
スカアトみたいに裾ひろがりでは
決まるものも決まらない
また紐をきゅうと締める
衿元を調えて
また紐をきゅうと締める
伊達〆もきゅうと締める
帯を巻く
しゅるしゅると巻く
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