『nopain island』/川村 透
 
aybelle、no no no-pain
You are sweet W.R
刺青の少女と再び出会ったのは夜更け
ストリートを歩く彼女の正面に少女は現れた
夜の色が混ざった白の、男もののシャツ、青白い胸元をわずかにはだけ
そこから覗く刺青は蝶のよう
少女はまっすぐに彼女を見詰めているように見えた
眉間にしわを寄せ怒ったようなきびしいまなざし
少女にまとわりついていた蝶はいない
なんだかほっとする
と、
すれ違いざまふわり
懐かしい香りがした血と土と潮と黄色いひまわり、緑と泥、それからあの、あの匂い
彼女は思わず立ち止まる
あの
島の、匂い。
振り返ると少女が胸の刺
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