骨の上で逡巡する/
瀬崎 虎彦
この肉体が僕の名で呼ばれている不思議
思うが侭に動かし
あるいは歌い
横たえ
歯の並びにさえ
造化の神の丹念な
作業のあとを見ることが出来るのだから
この精密さには祝福が与えられているにちがいない
だから逡巡する どのように生くべきかを
考えてもしかたがないと 知っているのに
大きな声で世界にそれを伝えたくて震える
この骨組と肉と呼吸を
経験と語彙と能力を
誰か一人でいい 記憶していてほしいのだ
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