秋雨/Kazu.
 
遠い日
もしも世界が
かなしみで一杯になってしまったら
天使たちの目には
大粒の涙が満ちてきて
ときに耐えきれなくなった日は
雨となって
地上に降りしきることだろう

でも
もしかしたら
世界はすでに
かなしみで満ちていて
天使たちの溜息ひとつで
雨は いまにも
降りだそうとしている
のかも知れない

世界にとって遠い日は
すぐそこにまで来ている
というのに 
人は
あいかわらず憎しみ合っていて
涙を湛えた天使たちの合唱は
鼻声まじりに虚ろに響き
今宵 
降りだした秋雨に
世界はしとど濡れそぼつ


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