冬/こしごえ
 
雪をあざむくくらいに。

雪の多い年は豊作になるよ。
誰かがそっと耳打ちする 冴え返る星夜
ひっそりと交叉点に静止する足。

冷静な視線は狂わずにじっと見つめる
土へ枯れていった葉の青さを
変わる信号の一瞬の連なりを
経過する青い落果を
あのひとったらね
私の鎖骨に口づけするのよ?
黒髪へ雪解けて
沈みつづける夕日は熱いかな熱いかな。
冬の天涯は哀切の吐息におおわれ
今日も深淵では夢を孕み
しんとしん
冷たく光るさまざまな結晶の子守歌雪原する










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