遺産/ねことら
 


組み立てて、組み立てたもの
を、ゆらして壊した
なぜだろう
ゆびのない夜がきみを
おいつめようとする


ゆびは、夜は、きみは、
どこにもたどりつかない
おぼろげな、消失点は
かさなることはない


とうめいな膜がへだてている
くりかえされるのは
幸福にかたどられた無声映画
いつまでも
ひとり、みていた


窓の開け放ち方をしらないこども
鍵の合わないオルゴール箱
だいじなものはかんたんに
壊れてしまうね


隣にいたいだけだった
幸福の形見のように



ずっと隣に、




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