同胞/Shaka
*
もしも…
この世の全てが
この掌すり抜けて行く風の内に
記憶を留めるのであれば
私は此処に居て
風を嗅ぎ
風を聴き
風を噛み
風を観て
ただそれだけを糧に暮らすだろう
*
もしも…
神の手から解き放たれた意識の欠片が
百億の星から降り注ぐ光の姿を借りて
現れるのであれば
私は身を棄て
一枚の白い紙となり
文字となり
言葉となり
文章となり
永遠の内に一瞬を閉じ込めようと試みるだろう
*
そして…
象、成す
全てのものに
輝きを観て
魂、懐く
全てのものの
意志を得て
同胞には愛を
流れる雲と
移ろう風には
停まる為の枝葉を捧げ
涯無き無限と果て無き永遠に
畏敬の念を捧げたならば、
土くれの底
静かに眠ろう
生まれ落ちた
六月の空の下
知り得たもの全てを留める五感の記憶を抱いて
そして…
同胞には感謝を捧げん。
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