身を切られない別れ/うめバア
 
久しぶりの長電話の末に
ケータイのバッテリが切れかけ
「次は原宿」と
約束する振りをした

あれがラストだとは
まさかそのときは
思っていなかったから私
中途半端な態度のままだった

もう、あなたに気に入られようと
努力しなくていい
ふいに私を楽にした
いい加減な別れに思う

交わした言葉は幾つも
頭の中で
何度も、何度も
寄せては返す
けれど

あれから何度か、
後悔しようと試みたのだけど
そのたびに、最後は
失笑に終わった

今、ここは静かで
苦しみも、怒りも、屈辱も
自己否定からも、遠くて穏やか

思い出に変わるまでというけれど

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