冬の気配 秋の死/朽木 裕
 
セーラー服の袖から猫が出て行った
私は体温が低いから寒さに耐えられなかったのだろう
足下の雑草に霜 しゃくりと踏んで猫を追う

路地裏を右に左に見失い
しまいには何を追いかけていたのか分からなくなった

溜息をつくと白い息が蛇に成り
蛇は私の左肩を威嚇する

なにかが、憑いているのは自分でも分かっている
殺しておくれな蛇、蛇

ゆっくりと
ゆっくりと目を閉じて

ゆっくり目を開けてみたらそこには冬がきていた
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