待ち時間の使い方/智哉
今までに君から受けた扱いの数々を
ちょっと時間が空いたから思い出してみることにした
出会いはちょうど10年前
通学途中の電車の中
当時の高校生らしくない
落ち着きつつも既に妖艶な服装、顔立ち
考えや話す内容、立ち振る舞い
一瞬で自分に興味をもつ男を見分ける才能
そしてまんまと引っ掛かった僕
それから後も飲み会といえばハンドルキーパー
暇になれば呼び出され映画や買い物
僕はまるで君のカバンに着いている
C字のロゴのブランドのキーホルダーみたいだった
ある日酔った君をいつものように送った帰り
僕らの歯車は狂いだした
初めて手とか肩とかじゃなく
生身の君の粘膜
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