ひとりの話/明楽
 
放課後の校庭に
ぽ つん と
うずくまり
動けなくなってしまったような時
くる くるくる と
上の方から降りてくる
白い
ふわふわとした
真綿のようなさみしさ

それらは
ぽふり ぽふり と
背中にゆっくり
降り積もり
形だけの羽根となり
ついには人を
うずくまっているだけの
鳥にしてしまうことがあります

もしも
あなたが鳥になってしまったら
ころんと
まあるくなって横たわり
そーっとやさしく
おへそを触って
思い出してください

( 最初から
  ひとりだったのではないことを )

そしたら
飛べない羽根はそのままでも
歩き出すための足くらいは
元に戻せますから
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