カンセツキッス/中原 那由多
待ち人でありたいと廊下に立ち
ほとぼりが冷めるまでの言葉遊び
未だに解けない誤解があるなら
不本意な配慮も無駄にはならない
街灯が照らし出すと同時に
忘れていたものを思い出す
何気なく口ずさんだ童謡
夕焼け子焼けの風が吹き
閉じた窓から滲み出る空気にためらわされる
捨てるには真新しい願い
置場所に困ってしまった
曖昧にして隠しておくと
手には終えないほどに棘が出る
血を流すことは許されても
決して涙を流してはいけない
咎められないことに甘んじて
何度か果実をすり潰した
実はお似合いだったんじゃないか、という
冗談では済ませられない思い込みを棄てるため
たそがれる角度を変えてしまおう
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