音叉/ogawa hana
通用しないんです
燕尾の服 の おきゃくさま 萌えた茎に
毒を塗る
ドレミの人差し指が たちどまる しゅんかんに
くったりとした 花を さしだされ
五億人が なぞるであろう
王道な あしあとを
あたしもゆくのだろうか とたずねる
「あなたもいずれドレミをあきらめ別の花をもとめるはずだ」
いわれてみれば くったりとした花に生気はなく
あたしは黒鍵に欲情しておわった
えんびふくの 彼の時間は 波うって はがれおちた
それから年月をかさね
未だ
玉響に きこえる 海の底のような 歌
そういうときはきまって
どんなにだれかにあいされているときでも
そういうときはきまって
肩をだして
ベランダで
アルペジオが弾けない自分を白日に曝す
つまり
あたしはここでもまだバイエルだった
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