ライオンが海辺で吼える/瀬崎 虎彦
 
ライオンが海辺で吼える
電解質として孤独は宙を舞い
蛍たちがその行き先を示している
この獰猛な植物世界

心ばかりが跳ねるので
四分の五拍子にした
凍りついた月を見て
ライオンが海辺で吼える

青に還っていく未来のパノラマ
地面すれすれから眺めた世界は
何もかもが大きく見えた

記憶にある限り 空の青さを除いて
何一つ確かではなかった
ライオンが海辺で吼える

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