沼/朧月
 

沼の一番上の層を 
かきわけて私の両の腕が
かすかに動いたその隙を見て
どうか あなた
太陽を投げ込んで

ごぼりごぼり と太陽は沈み
イレヌナ イレヌナ と騒ぎ立てる闇のものは
一瞬にして吹き飛ぶ 

この世界は太陽を失くし 正義を失くし
夢も愛も無くなった 

呆然とたちつくすあなたは やがて
私のいる沼へと足を踏み出し
そして 私はあなたを受け入れ 
やっと静かに永遠に眠れると思うのだ

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