蝌蚪/小川 葉
父が釣りに連れてってくれた
それから数日後か
数ヵ月後か
数年後なのか
忘れてしまったけれど
近所のおじさんか
同級生か
はたまたいもしない
兄なのか
とんびなのか
カラスなのか
あるいは彼なのか
彼女だったのか
誰なのか
忘れてしまったけれど
雄物川の中流にある
小さな沼に案内してくれた
古川と言って
かつてそこは川だったかのような
そんな名称で
農業用水としても
さぞかし重宝していたようだった
水は田んぼと結ばれていて
その間を
フナでもなく
蛙でもない生き物が
さかんに行き来していた
あれから数日後か
数ヵ月後か
数年後な
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