きみだけの/あぐり
{引用=
言葉の降らない日々でも
きみに痛々しい愛(のようなもの)だけを送りつける
ぼくの先端から零れていく赤い信号が
次々と毛布にシミをつくるんだけど
乾いた風に投げ出してしまえばそれは
はらはらと泣き出しそうな欠片になって
夏の空いっぱいに散りばめられた、もう
ゆがんだ爪先
くすんだ指先
それら ぼくのとがる先端に
くちびるをあてこする意味のない日々では
女の子であるという
わたしの影はぼくのシミでしかなくて
誰にも善くない恋を叫ぶ咽をどうか
絞めて。
そうして漏れてきた低い声を
ぼくの瞳にはりつけていくの
金色にひかっている
夏の夜
指
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