東京の狭くて薄汚れた四角い空を見たいんだ/虹村 凌
はがれて丸まったシーツの上に座り込んで
銀色のノートパソコンを開いているよ
ハローハロー
ハロー世界
真夜中に煙草を吸いながら
真っ昼間にゲームをしている奴と喋っている
時差だってよ
地球の奇跡と文明の発展を同時に味わってるぜ
今日の気温が昨日とどれほど違うのかもわからない
昨日は外に出てないからさ
窓の外はずっとSOSが飛び交っている
その幾つかが銀色のノートパソコンや
紺色の携帯電話に飛び込んでくるんだよ
でも俺には助けてやれないんだ
何もしてやれねぇんだ
煙草を吸ってコーラを飲んで
起きてから着替えもせずに
この二日間ずっと履きっぱなしの黒いジーンズ
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