カサゴ/北村 守通
 

銀色が
白い砂地に降っている
大地に触れると
溶け込んで

天上の見えない
その世界では
イワシかキビナゴ達が舞っている
一粒一粒
集まって
雲となって
帯なして
海流に吹かれて
揺らめいて
群がる粒に
食いちぎられて
揺らめいて
はためいている

銀色の一切れを
口にくわえて飲み込んでみる
水にのせて吐き出してみる
銀色が舞い上がる
きらめかず
舞い落ちる

いつしか
銀色は止んでいる
空はにじんでいる
空はよどんでいる
空は濁っている
空は真っ暗である
砂地は真っ白である
銀色のみこんで
真っ白である
砂地は銀色を吐き出さない
砂地は銀色を舞い上げない

一人残るは
恥ずかしく
カサゴ大慌てで
岩穴に戻る

ひれで
砂地が巻き上げられて
今日最後の
銀色が
舞い上がる
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