カサゴ/北村 守通
 
雪が降る
雪が降る
銀色きらきら
雪が降る
真っ黒の天上の彼方から
きらきら
きらきら
雪が降る

降り積もったはずだった
銀色は
消えていく
水の底
大地に触れて
砂に触れて
溶け込んで

降っている
降っている
まぶしく
きらきら降っている
誘われて
岩の陰
まんまる目玉が
まばたきをする

空はにじんでいる
空は濁っている
空はよどんでいる
空が時折銀色に光る

岩の上から
まんまる目玉
まばたき忘れて
見上げている
鰓の動きが大きくなる
踏み出そうとする体が
躊躇する

銀色が降っている
銀色が降っている

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