私の住む村/朧月
だれでもよかった
私を連れ出してくれるなら
暗い山奥の村から
しわしわの年寄りになりたくなかった
自然の恵みを貪り食う
老人が仙人みたいな口をきくのに耐えられなかった
年寄りの年寄りが山賊だったとかそんなことどうでもいい
大昔には庄屋だったとかしょうゆやだったとかそんなものは
噂話を茶菓子にしている縁側を
通らねば通えない小学校に火をつける夢をみた
なんで鉄筋になったんだ
そのうえなんで廃校になってるんだ
夢の後
なら どんなにいいだろうね
ねえ
おじいちゃんおばあちゃん
むかしむかしここにあったものはどうなったの?
この村にはもう子供はいないのに
子供だった私はいつまで泣いているんだろう
短い昼間の太陽を
仰ぎ見てここが私の住む村
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