失望を抱く/百瀬朝子
るってこと
あたし自身はちっぽけで
ひとりじゃ力を出し切れなくて
誰かがそばにいるときほどそれは
強い実感になるという不確かな確実性が
存在しているようで
青白い肌が火照る
名曲や名作は永遠の価値を手に入れて
誇らしげにしているのは
価値を生み出したものを差し置いて
今を生きる我々であるというある種の失望
不可解なリアルに失望を抱きながら
身近な誰かをいとおしいふりをして
片手で抱くんだ乱暴に
自分自身さえ欺いたまま
真っ逆さまになればいいのに
天も地も果てて
あたしたちの想いは海に溶けて
たとえばあたしが
感情や言葉を捨てたとしても
新しい風が吹く
そしてまた
誰かが詩を詠むのだろう
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