ギリシア・ローマの時代から/瀬崎 虎彦
 
火の星が地球に災いをもたらすと
最初に口にした男の軽薄
蟻の長い行進を眺めて
奴隷制度に思い至る男の明察

エレベータをおりてエントランスホールを抜けると
都市計画に完全に準拠した景観が広がっている
ここには一切の汚れがない つまり
汚れを許容しないという事実がある

ネクタイを緩めて電車を待っている
何事も成し遂げない自分の背負うタイトルは
貨幣制度のようにじわじわと狡猾な嘘を完遂する

虐げられるために生き 生かされる人がいる
ギリシア・ローマの時代から
もっともっと昔から
戻る   Point(4)