あなたが送ったサイン/瀬崎 虎彦
 
ささめきことに身を寄せて木曜日
ひらりひらりと翻る葉の裏を
手のひらをぎゅっと握って
眺めておりました

風が出て雲の流れがはやく
欄干にしがみついていなければ
心はメレンゲのように軽く
遠くへ飛ばされてしまいそうでした

二度三度太陽の光を反射して
波間からあなたがサインを送った
そんな気がしていたのです

それは数日の後に詩になって
ああそうか世の詩人の皆さんはゼロから
作品を作るのではないのだと理解しました
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