ぬくもりを手に。/aokage
私達はいつだって独りで。
けれどどんな時でも、一人で在った事なんて一度もなくて。
気が付けば隣に、前に、
時には後ろに、誰かが立っていて。
そっと此の手を、握りしめてくれている。
その温かさはすっかり自分の手と馴染んでいて、
普段は意識することは出来ないのだけど、
この身体が、心が、
冷えきってしまった時、
じんわりと染み入るように、
私を、癒やしてくれる。
私たちはいつでも独りで。
けれども此の手のひらは、いつだって温かい。
そして私たちは、
誰もが一人きりでは生きてゆけないことに、
改めて、気が付くのだ。
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