救済の船/三森 攣
 
救済の船がやってくる

金色の雲をかきわけて
街並みも石畳も全て黄色に変えて
建物も水も全て眩しく光りながら 黄色になって
僕の街にも救済の船がやってくる

月の無い夜を瞳一杯に潤ませて
乾いた朝焼けに滲んだ人影も
小さな小屋の小さな日陰の中で
動くことをやめた悲しい人形も
全て祝福されて黄色にかえる

中央広場の噴水で動かなくなった人形が重なって揺れる
揺れる瞳から月の無い夜が追い出されて頬を濡らしてく
街に溢れた夜は
噴水の色さえ変えたけど
太陽の意味さえ変えたけど
もうすぐ眩しい光が包んでくれる
救済の船がやってくる

救済の船がやってくる
夜に染まって動かなくなった僕にも
救済の船がやってくる

遠い昔に失くした絵本の中からやってくる
救済の船がやってくる
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