酒に酔うて/田園
酒に酔うて
人に酔うて
乱雑な物言いをして
おれはこんな所へ居る者では無い
もっと高い所へ居る人間だ
そんな事を宣って
あらケンさんその通りだわよ
あなたは私から見ればお高い御仁
ケラケラと女の笑い声
老人の呆れ声そして病的なせせら嗤い
ああ酔いが回る酔いが回る
鈍重な重石で潰された様だ
おれは人にガンガンと頭を打ち付けられて
自分でもガンガンと頭を打ち付けて
潰れてしまった
潰れてしまった
ゲロと共に昔見た野菊の立ち姿を思い出す
摘めば消える
花は消える
そんな命
そんな命
だがふと母ちゃんの匂いがした
背中を撫でられたような気がした
酒に
しこたま酔った
戻る 編 削 Point(4)