僕にはそうするすべがない/
瀬崎 虎彦
遠いといわれた惑星に至り
それほど悪くはなかったと
ヴェランダでこれまでを振り返っていると
遠くから差していた光が翳っていく
君の強さを
そして/あるいは君の弱さを
それは人目を引いて
君に対する悪意さえひきつける輝きを
アンバランスな声の
おそらく人生で一番近くにいた瞬間を
君はきっと覚えていない
分かりやすい言葉で
もっと素直に伝えたいのに
僕にはそうするすべがない
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