ある人へ/乱太郎
 
流れ行く空
ぶつぶつ言って
若気の香り漂わせた
老木が凛として立っている
潮風をなだめるように
夢の葉を揺らし続ける様は
天使の翼の羽音
嵐の夜も
水不足の季節もくぐり抜け
言葉の種を落としている
黄ばむことない
青葉のまま
澄んだ空を見つめながら

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