笑/
城之崎二手次郎
君を毎日笑わせる。それがプロポーズの言葉だった。その約束が破られたことはない。結婚四年目に彼が癌を宣告された。臨終の床についた彼が突然、ベッドの脇にいる私を探し始めた。いくら返事をしても私の名を呼び続け、あげくに「こんな時にウンコかいな」とつぶやいた。私は思わず「ここにおるわ」と言った。彼が笑った。私はやられたと笑いながら彼のおでこを叩いた。彼は私をやさしく見て、息を引きとった。
あとがき。
二〇〇字物語第四〇弾。
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