自由の二等辺三角形/
瀬崎 虎彦
タールに浸した翼を
バサバサと音を立てて
羽ばたこうとしている
悲しみはついに水源に至る
さるご婦人から頂いた
ラヴェンダーの香水を
春先に洗面所で誤って
落として割ってしまって
かつてこれほど悲しい気持ちで
空を見上げたことがあるかしら
昼も夜も変わることなく
流れ始めていく 私の周りで
壊れ始めていく 制約と枷
自由の二等辺三角形 雁よ
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