漂白の意図/相田 九龍
 
あの人は、なぜ孤独を感じないのだろうか
空を埋め尽くすほど広がる楕円形の雲が
優雅に進む鯨の群れのように見えた


しばらく人とは会えない
門番の役目は
乳白色の雲と
深く厳しく断絶されることに始まる
少し遠くに見えるアパートの前
子供たちがとても元気だ
鯨たちの泳ぐ高い高い空が
その色彩で夕刻を告げる



弱いものから消えていく
それらと潔く共にあることを願いながら
私はここで門番などしている
弱いものが死んで
残った者たちの骨はどこまでも健康で
私たちの水は見事に濁っていく

共に消えるべきなのか
ああ
今まで
出来るだけ
白の言葉で悲し
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