山の村に住んで/朧月
くねくねと曲がりくねった山道に
さしかかる前のカーブを曲がるとき
世界が終る気がした いつも
悲しい気持ちがした
山奥の村は孤独が住んでいる
柿の木の下にうずくまる犬
容赦のないこどもの視線が
刺さる朝は 凍えそうで痛かった
転入生なんて言葉はまるで
見物人のためのプラカード
先住民がえらいのかと何度も
心でつぶやいたけど
言葉になる前の目つきはそれだけで
握手の手を遠ざけた
素朴に隠れた 卑怯な高みの見物人
わけありの母子へのさぐる眼差し
どこまでいっても同じになれず
異質なままで泣いたあの頃
消したい記憶は今もなお
残っているのになぜかそれを
懐かしんで語る人がいる不思議
離れた地への私からの
想いはどうか変わらないでいてほしいと
蔑んだあなたたちのまま過疎になっていてほしい
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