終わる世界/e.mei
(この世界にうまれなかったすべての記号たちに
琥珀色した光りが届いたなら――)
/星が瞬きも忘れて
/死を視ている
世界の空が薄い琥珀のように潤み始めた頃には残されたのは
僕たちだけだった
青白く光る夜の岸に白鳥がとまる
静かな人の祈りの歌が聴こえてくるまでには僕も死ななければならないのだと僕は知っている
蠍の火に焼かれて
この夜はふけるばかりで
太陽の姿は久しくみてない
/
みんな何処へゆくのだろう
僕には知らないことが多すぎる
日々は泡のように消えてゆく
僕と云う記号を遺して
消滅を繰り返してゆく
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