うす曇りの午後に/瀬崎 虎彦
 
静謐と漢字で書くと
二文字目で迷い
うす曇りの午後に
うーんと声を出してしまう

来週の今頃はいったい
何をしているかしらと
手帳をめくっていると
もう残りページが少なく

こうして少しずつ
文字を書きつけながら
自分が生きていたことを焼き付ける

誰も読まないものに
まだ見知らぬ人への声を
ゆるやかに伝える言葉を渉猟する
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