辟易のエレベーター/百瀬朝子
(シタ ヘ マイリマス)
機械の声が言った
まちがえた
私は上に行きたいのに
すくんだ
無情なドアーは閉じられる
上下する箱の中
人が乗っては降りてゆく
重力に逆らったスピードで
大地が歪む
みんなどこへ行きたいのだろう
(ウエ ヘ マイリマス)
私は六階で降りたいのに
ボタンの前を占拠したおばんがいる
手を伸ばしては阻まれる
宙に浮いた右手の行方
私はスナイパーになって
ビルの屋上から狙撃する
つもりになって
『6』のボタンを狙ってる
(ドア ガ シマリマッ…)
って飛び乗ってきた娘が挟まれた
「
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