真夜中の遊び/朧月
 
夜になると
寝ないといけないなんて知らなかった
眠らないことで叱られていたと理解できたのは
だいぶ後のことだった

そういうことだったのか と
あのときの母の怒りは
そういうことだったのか
ほんとうに?

私は
大声を出していたのだろうか
大きな音を出していたのだろうか
延々と遊びに夢中であった

投げては引き戻す
大事なもの そのくりかえしくりかえしを
飽きもせず
私の大事なものを
投げる手繰り寄せる 投げる

楽しかった
うれしかった
私の大事なものが
確かに手元に戻ってくることが

母は私の頭から水をかけた
流れる水道の水の温度は
冷たかったのだろうか
母の存在よりも

あの頃
確かに大事にしていたものは思い出せる

ああ
なぜなのだ

母のパジャマをただ
ぐるぐる巻きにしたものだった


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