「うつわの水」/月乃助
{引用=
光のあふれる
みなもは、しじまの
はぐれた啄木鳥の子どもが、背を黒くし ―●―
オークの幹をつついています
水音にささやかれる樹の間は、
あたたかな池畔のひろがり
水面に影をおとす柳の樹の、
その隙間に つまらなそうな陽の輝きがのぞき
それもまた水鳥たちに さえぎられるなら
池水は、その自由を池畔におもね、
ひろがっているのです
アーチになった石橋も ―【 ―
何千もの人をささえる頑固な礎石さえ しかるでもなく
まといつく枯れ葉を 今はなすがままにさせています
▼秋、だから 老いた
かしいだマロニエの樹さえ、あまたな葉を水になげては、
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