すろうとーく/フミタケ
 
「おやすみ」をくりかえしては
ちいさなサヨナラを一日一日つもらせて
やがてその気持ちも変わっていく
中心にある寂しさを少しずらして
かわりに自分をそこへ置いてみる
揺れていたものが
今は少し離れたところから
はっきりと良く分かる

嫌なことと
愛しいことが
どちらもブログに書いたりしない
という部分で同じように共通してる
説明しようのないその不思議はまるで
いつも少しかなしい
に似て
かなしみを生たまごの殻のように抱き
マンドリンのアコースティックな響きが
小さく轟いてる
それはどんな爆音よりも大きな音に
君には聞こえるだろう
ジャマイカにある巨大スピーカーからの
空気を振動させるダブよりも
音速で駆け巡る鋼鉄ジェットの爆発音よりも
拡声器を通した絶叫よりも
ささやきの方が
時には深く深く
胸を突き抜けていく
その声を今でもよく覚えてるたとえば
もう絶対に会えないあの娘の声を
戻る   Point(3)