すろうとーく/フミタケ
「おやすみ」をくりかえしては
ちいさなサヨナラを一日一日つもらせて
やがてその気持ちも変わっていく
中心にある寂しさを少しずらして
かわりに自分をそこへ置いてみる
揺れていたものが
今は少し離れたところから
はっきりと良く分かる
嫌なことと
愛しいことが
どちらもブログに書いたりしない
という部分で同じように共通してる
説明しようのないその不思議はまるで
いつも少しかなしい
に似て
かなしみを生たまごの殻のように抱き
マンドリンのアコースティックな響きが
小さく轟いてる
それはどんな爆音よりも大きな音に
君には聞こえるだろう
ジャマイカにある巨大スピーカーからの
空気を振動させるダブよりも
音速で駆け巡る鋼鉄ジェットの爆発音よりも
拡声器を通した絶叫よりも
ささやきの方が
時には深く深く
胸を突き抜けていく
その声を今でもよく覚えてるたとえば
もう絶対に会えないあの娘の声を
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