ひとと違うこと/朧月
あの頃の私には
人と違う ということが恐ろしくてならなかった
生まれ持ったカラダのどこもが
他のみんなと違ってはならないと思っていた
思っていたのに違っていた
わずかにカタチを違えて備わっていた
今となってはわずかといえるそれが
大きくて大きくて
悪 だった
同じでありたい
同じになりたい
私の望みは膨らんで
同じに生産しなかった者を恨んだ
責めた
個性なんて言葉はどうでもよかった
同じこと だけが必要だった
同じにみせた笑顔をはりつけ
必死で笑っていた
あの頃の私よ
泣きそうな笑顔の私よ
あなたに今言いたいことは
早く消えてください
今の私は
人と違うこと を 目指しているのだから
どんなことをしたって生き残りたい
そんな場所で踏ん張っているのだから
さようなら
人と違うことがこわかった私
私ね もう 泣いていないよ
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