二重国籍の悲しみ/
瀬崎 虎彦
鳥たちは彼方より
不吉な報せ嘴に
たずさえ飛び来る
死の匂い羽根に含んで
闇が白んでいく都心の
明けの空に深いインディゴの
融解してゆくさまひたひたと
薄気味悪く清澄に
二重国籍の悲しみ
デラシネでさえない
過剰の苦渋に嘆息し
悲しみを憂えたあなたは
みすぼらしい服を着た僕に
すすと手を差し出して微笑む
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